こだわり商品

なかなか減らないやみつき柿の種

柿の種のメーカーを訪ねて

大きなふたを開けると、フワッと漂う香ばしい香りに思わず笑みがこぼれます。
艶やかなきつね色に焼きあがった生地の表面はごつごつとして歪な形をしていますが、醤油がほど良く染み込みこんで絶妙な味わいです。

久世福商店で一番人気のお菓子「久世福のなかなか減らないやみつき柿の種」は、千葉県にある米菓メーカーで昔ながらの製法を使って製造しています。
今回、この柿の種のおいしさや歪な形の秘密を探るべく、取材に出かけてきました。


柿の種ができるまで

製造現場を指導、統括している小泉さん(写真左)は18歳で入社、今では会社の誰よりも社歴が長いそうですが、偉大な先輩から受け継いだ伝統技術を忠実に守りながら、厳しい眼差しと愛情をもって、仕事に取り組まれています。
そんな小泉さんに柿の種の製造工程について詳しく教えていただきました。



「お餅がないとけんかにもならない」という教えがあるそうで、お餅づくりは基本中の基本。

洗米→ミキサーがけ→蒸し→練り→型に入れる→冷却



この後、約2日間かけてゆっくりじっくり生地を寝かせます。
温度管理と時の流れが生地を熟成させ美味しい柿の種に仕上がります。

→成形 寝かせて固まったお餅を型から外して機械にセット。回転させながら薄くスライスされたお餅は「抜き型」へと流れ、柿の種の形に抜き出されていきます。一般の柿の種は半月の形をした棒状の型にお餅を入れて固め、端からスライスするため表面がつるっとして形が均一ですが、「抜き型」は輪郭がざらっとしているので歪な形になります。




→乾燥 昔は乾燥工程を「天日干し」でやっていました。いまでもできるだけ「天日干し」に近づけた環境下で乾燥させるため一定の温度でゆっくりと時間をかけて乾燥させ、木箱に入れて生地を落ち着かせます。この木箱も昔ながらの製法の一つです。




→焼成 タイマーなどの時間設定はありません。職人が目視で「きつね色」を見極めます。




→味付け 醤油が入った釜に柿の種を浸して味付けした後、唐辛子をまぶします。季節、気候によって機械の回転速度、回転数を見極めます。




→乾燥 ポットに柿の種とピーナッツを一つ一つ手作業で詰めています。窒素ガス充填後、シーリングを施し蓋を閉めて完成です。
これは、柿の種の品質を保つための特別な仕様であり大切な工程。昔ながらのフォルムに実は最先端の技術が使われています。久世福印のシールにもご注目!細部にまで久世福の命が宿っています。




こうして「約1週間」かけて
ようやく全国の久世福商店に送られ皆さまのお手元に届きます。

「久世福のなかなか減らないやみつき柿の種」は、すべての工程において機械に任せっきりではなく、必ず人の手がかかっていて、その日その時の温度、湿度によってベストな状態をコントロールしながら手間をかけ、愛情込めて丁寧につくられています。工場で働く皆さんは、素直でシャイでとても熱心、スタッフ同士の信頼も厚く、現場は温かい雰囲気であふれています。私たちも取材していることを忘れて、すぐに皆さんと打ち解けてしまいました。
柿の種のおいしさの秘密は工場の皆さんの努力や技術はもちろん、伝統を大切にする心と優しさが最高のスパイスになっているんですね。

久世福商店と柿の種の出会い

2013年、「久世福商店」がまだ店舗も無く企画書1枚だった頃、千葉県で米菓メーカーを営む3代目社長が「商品を売ってほしい」と長野県飯綱町にあるサンクゼールの本社を訪ねてこられました。社長は既存の商品だけでなく、「サンクゼール」のために開発したという商品と合わせ約20種類のサンプルをお持ちになりました。

商談を終えた帰り際、「これは大量生産できないので商品化できませんが、お土産なので皆さんで食べてください」と差し出されたお土産こそが「柿の種」でした。これは入社間もない新人に昔ながらの製法を教え、伝統継承するためだけに製造され、工場の敷地にある直売店だけで販売していたという幻の逸品でした。

ポットの大きさにひとめぼれし、そのおいしさに心奪われ、これは絶対売れる!
商品化できないと言われたにも関わらず、私たちは無理を承知で、当時まだ実体のなかった久世福商店のためにこの柿の種をつくってほしいとお願いしたところ、社長は困るどころかとても喜んでくださって、快く引き受けてくださいました。こうして幻の柿の種が久世福商店で商品化されることになりました。

同年12月、久世福商店イオンモール幕張新都心店のグランドオープン直前に、注文数たった5ケース(40個)の柿の種を、社長自ら納品してくださいました。ところがオープン後には何と100ケースの注文が入り、久世福商店デビューの成功と共に「久世福のなかなか減らないやみつき柿の種」もお客様に支持していただいた結果となり、「嬉しかった」と当時を振り返って話してくださいました。

3代目社長と直売所


「なかなか減らない…」?のネーミング

久世福商店プロジェクトが始動したばかりの頃は、少ないメンバーで手分けして、2000アイテムを目標に日本全国のメーカーを訪ね、商品を探し回りました。さらに久世福商店オープンまで残り1ヶ月と迫る中、集めた資料や情報を元に、商品名と25文字の説明文を作りました。こだわりや味わいをわずかな文字数で表現することは容易ではありません。毎日頭をフル回転させ、根気のいる作業を進める中、ポットの形と大きさを見てふと遊び心で閃いてしまったのが「なかなか減らないやみつき柿の種」。

久世福商店のイメージに合わないから却下されるかと思いきや、そのまま採用されてしまいました。結果として売れ行きは好調で、反響も大きかったこともあり、今となっては「おいしいからすぐに減っちゃう柿の種」の方が良かったかなと思ったりもします。 いずれにしても、久世福を代表する商品として皆さまに愛されていることは、とても嬉しく光栄なことです。「なかなか減らない」けれども、「すぐに減っちゃうおいしい」柿の種、今日のお茶うけにいかがですか。
(広報:高岡)

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