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信州の伝統工芸 木曾漆器

木曽漆器は、長野県塩尻市(旧楢川村)周辺で継承されている伝統工芸で、一九七五年には経済産業省(旧通商産業省)に伝統的工芸品に認定されました。木曽には、江戸と京都を結ぶ中山道の宿場町が十一ヶ所存在し、今も当時の町並みや文化などが色濃く残されています。木曽漆器は当時の木曽の産業を代表するものですが、近年では外国から安価な漆器が手に入るようになり、伝統を継承する職人も減りゆく中、稀少な工芸品へと変わりつつあります。

木曽漆器の歴史は江戸時代に遡ります。中山道を行き来する大名や旅人などの行列に、必ずと言って良い程同行していた女衆などの女旅人が、お土産や自分のためにと買い求めたのが漆塗りの櫛、「塗り櫛」と言われるものでした。塗り櫛や漆器などの塗り物は、木曽の気候や立地に大変適しており、産業が発展していきました。

器づくりの工程は分業制で、木を加工して器などを成形する「木地師」、何日もかけて漆を塗り重ねる「塗師」、金粉などで模様を施す「蒔絵師」と、それぞれに職人がいます。特に塗師は、漆と混ぜ合わせるものを少しずつ変えながら、塗って乾燥、を最低でも七回以上繰り返します。乾燥には一昼夜以上の時間がかかるため、一個の器が塗師の工房を巣立つまでには多くの時間を要します。季節だけでなく、その日その日の気温と湿度によって、漆に混ぜ合わせるものや、塗る厚さを絶妙な加減で調整します。一人前になるには十年以上修行を要する熟練の技。この道五十年以上の職人ですら、自然相手に神経を集中させる毎日。

このように職人たちの手によって、時間をかけて丁寧に作られた美しい器にお料理が盛られると、そこには上品さと優しさが生まれます。そっと口をつけると、陶器や磁器などでは感じることのできないような、やわらかさと温もりを感じます。普段の生活に漆器を取り入れてみませんか。

山深い木曾谷に佇む奈良井宿

塗り櫛